労働派遣事業は、全て「許可制」です。
2015年2015年9月(平成27年)に労働者派遣法改正により、一般労働派遣事業(許可制)・特定派遣事業(届出制)の区別が廃止され、全ての労働者派遣事業が許可制になりました。
ポイント:許可制への法改正の理由は、派遣労働者が健全に働ける環境を整えるためです。
派遣を行ってはならない業務
(1)港湾運送業務(2)建設業務(3)警備業務(4)病院における医療関連業務(紹介予定派遣や産前産後休業の場合などは可能)(5)弁護士、司法書士、土地家屋調査士業、公認会計士、税理士、弁理士、社労士、行政書士、建築土木事務所の管理建築士、派遣先で団体交渉等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務
日雇い派遣は原則禁止
- 次の2つの条件を満たすと日雇い派遣に該当します。
- 派遣期間が31日未満であること
- 週の労働時間が20時間未満であること
- 例外
- 60歳以上の者⇒就職困難者
- 昼間学校の学生
- 生業収入が500万円以上(副業として日雇い派遣に従事)
- 世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない人の日雇い派遣
単発バイトは派遣法違反?
日雇い派遣の雇用主は派遣会社であり、給与も派遣会社から支払われます。一方、単発バイトはマッチングサービスで、雇用主は勤務先である企業であり、給与も企業から受けとりますので、派遣法違反にはなりません。
請負の名目で行われる実態派遣は違法となります。
派遣社員の待遇(同一労働同一賃金)
同一労働・同一賃金の主旨
正規雇用と非正規雇用(派遣社員)との間にある不合理な待遇の差を解消すること(待遇とは賃金、福利厚生、教育制度、キャリア支援、安全衛生等)。
派遣社員の待遇の決め方
均等・均衡方式と労使協定方式
- 均等・均衡方式 労働者の待遇を派遣先の正社員と同程度の待遇にする方式。
- 労使協定方式 国が定める一般労働者の平均賃金と比較して決定する。
抵触日の通知
派遣先の義務
派遣先は労働者派遣契約を締結するにあたりあらかじめ派遣元事業主に対し、事業所単位の派遣可能期間の制限に抵触する日を通知。
派遣元の義務
- 派遣元は派遣先から事業所単位の制限に抵触する日の通知がないときは、労働者派遣契約を締結してはならない。
- 派遣元は派遣社員への明示については、個人単位と事業所単位の2種類期間制限を示す。
① 個人単位期間制限
派遣先の事業所における同一の組織単位(最長3年)
② 事業所単位期間制限
織単位を変えれば、同一の事業所に引き続き同一の派遣社員を派遣できる。
※期間制限を受けない者、業務
無期雇用社員、60歳以上の者の派遣、有期プロジェクト業務、日数限定業務、産前産後休業、育児休業等を取得する労働者の代替え要員、介護休業等を取得する労働者の代替え要員。
労働契約申込み見なし制度
- 期間制限の規定に違反して派遣を受け入れた(違法労働者派遣も含む)時点で派遣社員に労働契約の申し込みをしたものと見なす制度。
- 派遣社員が1年以内に承諾すれば、派遣先と派遣労働者間で労働契約が成立する。
※善意無過失、違法行為に該当することを過失がなく知らなかったことでも、違法になる可能性が高い。
離職後1年以内の労働者の前職会社への派遣の禁止
- 派遣先は派遣先を離職後1年以内の者を派遣労働者として受け入れてはならない。
※雇用形態は問われないため、契約社員、日雇いバイトも対象になる。但し、60歳以上で定年退職した場合は対象から除外
グループ企業派遣の8割規制
企業がグループ会社として人材派遣を設立して、グループ内の他の企業に専ら派遣を行うこと。
- 8割規制は常用代替の防止、直接雇用を派遣に置き換えを防止するため
- 8割の基準:派遣数ではなく労働時間
- 適用除外等:60歳以上の定年退職者は制限の対象外